
強制決済とは?
2. 強制決済の前提条件とは?強制決済のプロセス
BingXの無期限先物取引では、リスクに基づいて強制決済が発動します。先物ポジションのリスクが100%に達するか超えると、部分的なポジション縮小または完全決済が行われます。
1. リスク
- 分離マージンモードリスク=(分離マージンポジションの維持証拠金+ポジション決済手数料)/(ポジション証拠金+未実現損益)
- クロスマージンモードリスク=(全クロスマージンポジションの維持証拠金+全クロスマージンポジションの決済手数料)/ (残高-分離マージンポジションの全ての証拠金-フリーズ資産+クロスマージンポジションの全未実現損益)
2. 強制決済のプロセス
2.1 分離マージンモード
- ポジションは凍結され、ポジションの証拠金の増減や注文等を行うことができなくなります。
- システムは破産価格を算出し、その価格に基づいてポジションを順番に決済します。
2.2 クロスマージンモード
- 該当する証拠金口座は凍結され、入出金、振替、注文、注文キャンセル等ができなくなります。
- 特定の通貨のマージンアカウント内で、すべての保留中の注文をキャンセルした後にリスクが100%未満になった場合、強制決済のプロセスは停止します。
- 同じ通貨のロングポジションとショートポジションをマージンアカウント内で市場価格で相殺し、リスクが100%未満になった場合、強制決済のプロセスは停止します。
- 上記の実行後もリスクが100%以上である場合、システムは、リスクが100%未満になるか、全てのクロスマージンポジションを決済するまで、破産価格に基づき、未実現損益が大きい順に(損失の大きいポジションを先に決済)クロスマージンポジションを1つずつ決済します。
3. 概算強制決済価格
3.1 分離マージンモード
3.1.1 異なる方向の同一ポジションにおける概算強制決済価格
3.1.2 概算強制決済価格の変更理由
- ユーザーによる証拠金の調整(増加または減少)。
- 資金調達費用決済(資金調達費用の支払いまたは獲得)。
3.2 クロスマージンモード
3.2.1 異なる方向の同一ポジションにおける概算強制決済価格
3.2.2 概算強制決済価格の変更理由
- 価格の変動によって未実現の利益および損失が発生した場合、他のポジションの担保にも変動が生じます。
- 追加のポジションを注文することで、口座の資金が占有されます。
- 口座への資金の入金または出金。
- ポジション注文および決済で発生した取引手数料の控除。
- 資金調達費用の決済(支払いまたは受け取りを含む)。
4. 破産価格
5. 保険金
- 仕組み: システムがユーザーのポジションを決済する際、破産価格でそのポジションを引き継ぎます。決済処理時の実行価格が破産価格より有利であった場合、決済によって発生した余剰分は保険金に振替られます。
-
使い方:システムがポジションを強制決済する際、破産価格でポジションを引き継ぎ、市場で処理を行います。実行価格が不利な場合や、ポジションを実行できない場合は、保険金が差額を補填します。 保険金が不足したり、急速に枯渇した場合、自動デレバレッジ(ADL)が発動されます。
6.USDⓢ-M先物強制決済の例
6.1 分離マージンモードにおける決済価格の計算
例:
ユーザーが1,100 USDTのアカウント残高で、1,000 USDT/ETHの価格で10 ETHのロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用する場合を想像してください。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、維持証拠金額は0です。
当初証拠金 = 平均注文価格 × ポジション数 / レバレッジ = 1,000 × 10 ÷ 10 = 1,000
維持証拠金 = 価格 × ポジションサイズ × 維持証拠金率 = 1,000 × 10 × 0.004 = 40
決済価格 = 1,000 - [(1,000 - 40) ÷ 10] - (0 ÷ 10) = 904
6.2. 分離マージンモードにおける強制決済の例
- 当初証拠金 = 平均ポジション価格 × ポジション数 / レバレッジ = 1,000 × 10 ÷ 10 = 1,000
- 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(904 -1,000) × 10= - 960
- リスク = (分離マージンポジション維持証拠金+ポジション決済手数料) ÷ (ポジション証拠金 + 未実現損益) = (904 × 10 × 0.4% + 904 × 10 × 0.05%) ÷ (1,000 - 960) = 101.70%
- 実現損益 = (破産価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 = (900.4502251-1,000) × 10= - 995.4977489
- ポジション決済手数料 = 破産価格 × ポジション数 × 取引手数料 = 900.4502251× 10 × 0.05% = 4.502251126
- 余剰 = (実行価格 - 破産価格) × ポジション数 = (902 - 900.4502251) × 10 = 15.497749
- 赤字 = (実行価格 - 破産価格) × ポジション数 = (900 - 900.4502251) × 10 = - 4.502251
6.3 クロスマージンモードにおける強制決済の価格計算
クロスマージンモードにおける決済の価格計算
ユーザーの口座残高が5,000 USDTだと仮定します。ユーザーは、価格10,000 USDT/BTCで2 BTCのロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用します。維持証拠金率は0.5%、維持証拠金額は0です。
維持証拠金 = 価格 × ポジション数 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額
= 10000 × 2 × 0.5% - 0 = 100 USDT
決済価格の計算は、現在の持続可能な損失を特定することから始まります。
総持続可能な損失 = 利用可能残高 - 維持証拠金
= 5,000 - 100 = 4,900 USDT
総持続可能な損失が4,900 USDTの場合、ポジションは2,450 USDTの価格下落に耐えることができます(4,900 ÷ 2)。したがって、ポジションの決済価格は7,550 USDTです(10,000 - 2,450)。
6.4. クロスマージンモードにおける強制決済の例
- 残高 = 入金 - 出金 + すべての実現利益 + すべての資金調達費用 - すべての取引手数料 = 5,000 - 0 + 0 + 0 - (10,000 × 2 × 0.05% + 1,000 × 10 × 0.05%) = 4,985
- BTC 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(8,004 -10,000) × 2= - 3,992
- ETH 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(912 -1,000) × 10= - 880
- クロスマージンモードでのポジションリスク = (すべてのクロスマージンポジションの合計維持証拠金 + すべてのクロスマージンポジションのポジション決済手数料) ÷ (残高 - イソレーテッドマージンポジションで使用されたすべてのマージン - 凍結された資産 + クロスマージンポジションの未実現損益) = [(8,004 × 2 × 0.4% + 912 × 10 × 0.4%) + (8,004 × 2 × 0.05% + 912 × 10 × 0.05%)] / (4,985 - 0 - 0 - 3,992 - 880) = 100.07%
7.インバース型先物強制決済の例
7.1 分離マージンモードにおける決済価格の計算
ユーザーが1 ETHの口座残高で、価格1,000 USDT/ETHで1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。
概算強制決済価格(ロング) = [ロングポジションの価値 × (維持証拠金率 + テイカー手数料率 + 1) − 維持証拠金額] / [ロングポジションの価値 × (1 ÷ レバレッジ + 1) ÷ ロングポジションの平均注文価格]
= [10000 × (0.004 + 0.0005 + 1) - 0] ÷ [10000 × (1 / 10 + 1) ÷ 1000]
= 913.181819 USDT
7.2. 分離マージンモードにおける強制決済の例
ユーザーが1 ETHのアカウント残高で、1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを1,000 USDT/ETHの価格で注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金額は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。ETHの価格が913.181819に下落した場合、ユーザーのポジションの状況は以下のようになります。
当初証拠金 = ポジション価値 ÷ 平均注文価格 ÷ レバレッジ
= 10000 ÷ 1000 ÷ 10
= 1 ETH
未実現損益 = (1 ÷ ロングポジションの平均注文価格 - 1 ÷ 価格) × ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格
= (1 ÷ 1000 - 1 ÷ 913.181819) × 1000 × 10
= -0.950722 ETH
維持証拠金 = (コントラクト数 × コントラクトの名目価値 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額) ÷ 価格
= (1000 × 10 × 0.004 - 0) ÷ 913.181819
= 0.043803 ETH
ポジション決済手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率
= 1000 × 10 ÷ 913.181819 × 0.05%
= 0.005476 ETH
リスク = (分離マージンポジションの維持証拠金 + ポジション決済手数料) ÷ (ポジション証拠金 + 未実現損益)
= (0.043803 + 0.005476) ÷ (1 - 0.950722)
= 100%
この時点でリスクが100%以上となり、強制決済が発動します(その後の手順、ポジションの引き継ぎや保険金の投入などは、USDⓢ-M先物と同様の手続きが行われます)。
7.3 クロスマージンモードにおける強制決済の価格計算
ユーザーが2 ETHの口座残高で、価格1,000 USDT/ETHで1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。
ポジション注文手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率
= 1000 × 10 ÷ 1000 × 0.05%
= 0.005 ETH
クロスマージンモードでの概算強制決済価格(ロング) = [ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格 × (ロング維持証拠金率 + テイカー手数料率 + 1) − ロング維持証拠金率] ÷ [口座残高 + コントラクトの名目価格 × (ロングポジションのコントラクト数 / ロングポジションの平均注文価格)]
= [1000 × 10 × (0.004 + 0.0005 + 1) - 0] ÷ [1.995 + 10 × (1000 ÷ 1000)]
= 10045 ÷ 12
= 837.432264 USDT
7.4. クロスマージンモードにおける強制決済の例
ユーザーが2 ETHのアカウント残高で、1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを1,000 USDT/ETHの価格で注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金額は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。ETHの価格が837.432264に下落した場合、ユーザーのポジションの状況は以下のようになります。
未実現損益 = (1 ÷ ロングポジションの平均注文価格 - 1 ÷ 価格) × ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格
= (1 ÷ 1000 - 1 ÷ 837.432264) × 1000 × 10
= -1.941265 ETH
ポジション決済手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率
= 1000 × 10 ÷ 837.432264 × 0.05%
= 0.005971 ETH
維持証拠金 = (コントラクト数 × コントラクトの名目価値 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額) ÷ 価格
= (1000 × 10 × 0.004 - 0) ÷ 837.432264
= 0.047766 ETH
クロスマージンポジションリスク = (クロスマージンポジションの維持マージン + クロスマージンポジションの決済手数料) ÷ (口座残高 + すべてのクロスマージンポジションの未実現損益)
= (0.047766 + 0.005971) ÷ (1.995 - 1.941265)
= 100%
現時点でリスクは≧100%となり、強制決済のトリガーとなります。