強制決済とは?

市場価格の変動によって含み損が発生し、証拠金が維持証拠金と決済手数料を下回ると、強制決済が行われます。口座残高がマイナスにならないように、システムがポジションを自動で決済します。
 

2. 強制決済の前提条件とは?強制決済のプロセス

BingXの無期限先物取引では、リスクに基づいて強制決済が発動します。先物ポジションのリスクが100%に達するか超えると、部分的なポジション縮小または完全決済が行われます。

1. リスク

リスクとは、先物における担保資産の充足度を評価する指標です。リスクが低いほど担保資産が十分であり、ポジションの安全性が高いことを示し、リスクが高いほど担保資産が不足する可能性があり、ポジションの安全性が低いことを示します。予期せぬ強制決済を避けるためには、ポジションのリスクを常に注意深くモニタリングし、メール、アプリ内メッセージ、SMS通知を活用して最新情報を把握することが重要です。
  • 分離マージンモードリスク=(分離マージンポジションの維持証拠金+ポジション決済手数料)/(ポジション証拠金+未実現損益)
  • クロスマージンモードリスク=(全クロスマージンポジションの維持証拠金+全クロスマージンポジションの決済手数料)/ (残高-分離マージンポジションの全ての証拠金-フリーズ資産+クロスマージンポジションの全未実現損益)
注意:
クロスマージンポジションの維持証拠金およびポジション決済手数料は、ポジションデータおよび保留注文数に基づいて算出されます。フリーズ資産とは、分離マージン注文の未決済注文に対して確保された証拠金および取引手数料、クロスマージン注文の未決済注文に対する取引手数料を指します。
-維持証拠金とは、レバレッジ取引中のポジションを維持するために必要な最低限の証拠金のことを指します。 ティア内のポジション(想定元本)に基づいて計算されます。この計算は、選択したレバレッジにかかわらず、特定のティア内で一貫しています。ポジションが大きいほど、維持証拠金率は高くなります。
- 強制決済は、ユーザーの現在のVIPレベルに基づいて決定されるテイカー手数料率を元に計算されます。

 

2. 強制決済のプロセス

強制決済のプロセスは、通常、以下の2つのケースに分類されます(記事の最後に具体例を掲載)。

2.1 分離マージンモード

分離マージンモードにおいて、リスクが100%以上(現在の担保資産が、分離マージポジションに必要な維持証拠金 + ポジション決済手数料以下)となった場合、強制決済が発動します。そのプロセスは以下の通りです。
  1. ポジションは凍結され、ポジションの証拠金の増減や注文等を行うことができなくなります。
  2. システムは破産価格を算出し、その価格に基づいてポジションを順番に決済します。

2.2 クロスマージンモード

クロスマージンモードにおいて、リスクが100%以上(現在の担保資産が、すべてのクロスマージンポジションに必要な維持証拠金 + ポジション決済手数料以下)となった場合、強制決済が発動します。そのプロセスは以下の通りです。
  1. 該当する証拠金口座は凍結され、入出金、振替、注文、注文キャンセル等ができなくなります。
  2. 特定の通貨のマージンアカウント内で、すべての保留中の注文をキャンセルした後にリスクが100%未満になった場合、強制決済のプロセスは停止します。
  3. 同じ通貨のロングポジションとショートポジションをマージンアカウント内で市場価格で相殺し、リスクが100%未満になった場合、強制決済のプロセスは停止します。
  4. 上記の実行後もリスクが100%以上である場合、システムは、リスクが100%未満になるか、全てのクロスマージンポジションを決済するまで、破産価格に基づき、未実現損益が大きい順に(損失の大きいポジションを先に決済)クロスマージンポジションを1つずつ決済します。
 

3. 概算強制決済価格

概算強制決済価格は、ポジションのリスクが100%に達する価格であり、あくまで参考値です。実際の決済価格は、リスクが100%に達する、または超えた時点で適用される価格です。
 

3.1 分離マージンモード

3.1.1 異なる方向の同一ポジションにおける概算強制決済価格

分離マージンモードでは、同じ取引ペアのロングポジションとショートポジションは、それぞれのポジションに割り当てられたマージンに基づいて異なる概算強制決済価格が設定されます。

3.1.2 概算強制決済価格の変更理由

  • ユーザーによる証拠金の調整(増加または減少)。
  • 資金調達費用決済(資金調達費用の支払いまたは獲得)。

3.2 クロスマージンモード

3.2.1 異なる方向の同一ポジションにおける概算強制決済価格

クロスマージンモードでは、同じペアのロングとショートポジションがヘッジされるため同じ概算強制決済価格を共有することができます。

3.2.2 概算強制決済価格の変更理由

  • 価格の変動によって未実現の利益および損失が発生した場合、他のポジションの担保にも変動が生じます。
  • 追加のポジションを注文することで、口座の資金が占有されます。
  • 口座への資金の入金または出金。
  • ポジション注文および決済で発生した取引手数料の控除。
  • 資金調達費用の決済(支払いまたは受け取りを含む)。
 

4. 破産価格

破産価格とは、証拠金がゼロになる価格を指します。リスクが100%以上になると、システムは破産価格で注文を出し、ポジションを決済します。強制決済のプロセスがマッチングシステムを通らないため、破産価格はKラインに表示されず、実際の強制決済価格とは一致しません。

 

5. 保険金

保険金は強制決済により資本がマイナスになった場合に使用されます。
  1. 仕組み: システムがユーザーのポジションを決済する際、破産価格でそのポジションを引き継ぎます。決済処理時の実行価格が破産価格より有利であった場合、決済によって発生した余剰分は保険金に振替られます。
  2. 使い方:システムがポジションを強制決済する際、破産価格でポジションを引き継ぎ、市場で処理を行います。実行価格が不利な場合や、ポジションを実行できない場合は、保険金が差額を補填します。 保険金が不足したり、急速に枯渇した場合、自動デレバレッジ(ADL)が発動されます。

6.USDⓢ-M先物強制決済の例

6.1 分離マージンモードにおける決済価格の計算

ロングポジション(購入):
決済価格(ロング) = 平均注文価格 - [(初期証拠金 − 維持証拠金) ÷ ポジション数] - (追加証拠金 ÷ ポジション数)
ショートポジション(購入):
決済価格(ショート) = 平均注文価格 + [(初期証拠金 − 維持証拠金) ÷ ポジション数] + (追加証拠金 ÷ ポジション数)
 

例:

ユーザーが1,100 USDTのアカウント残高で、1,000 USDT/ETHの価格で10 ETHのロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用する場合を想像してください。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、維持証拠金額は0です。

当初証拠金 = 平均注文価格 × ポジション数 / レバレッジ = 1,000 × 10 ÷ 10 = 1,000

維持証拠金 = 価格 × ポジションサイズ × 維持証拠金率 = 1,000 × 10 × 0.004 = 40

決済価格 = 1,000 - [(1,000 - 40) ÷ 10] - (0 ÷ 10) = 904

 

6.2. 分離マージンモードにおける強制決済の例

ユーザーが1,100 USDTの口座残高で、1,000 USDT/ETHの価格で10 ETHのロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用したとします。ETHの価格が904 USDTに下落した場合、ユーザーのポジションの状況は以下のようになります(維持証拠金率0.4%、テイカー手数料率0.05%と仮定)。
  • 当初証拠金 = 平均ポジション価格 × ポジション数 / レバレッジ = 1,000 × 10 ÷ 10 = 1,000
  • 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(904 -1,000) × 10= - 960
  • リスク = (分離マージンポジション維持証拠金+ポジション決済手数料) ÷ (ポジション証拠金 + 未実現損益) = (904 × 10 × 0.4% + 904 × 10 × 0.05%) ÷ (1,000 - 960) = 101.70%
この時点でリスクが100%以上となり、強制決済が発動します。システムは、ユーザーのポジションを破産価格の900.4502251で引き継ぎ、その結果、ユーザーのマージンはゼロに減少します。
  • 実現損益 = (破産価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 = (900.4502251-1,000) × 10= - 995.4977489
  • ポジション決済手数料 = 破産価格 × ポジション数 × 取引手数料 = 900.4502251× 10 × 0.05% = 4.502251126
システムがポジションを引き継いだ後、市場でポジションの処理が行われます。もしポジションが902 USDTで処理されれば利益が発生し、その利益は保険金に追加されます。しかし、実行価格が900 USDTの場合、損失が発生し、その損失は保険金がカバーします。
  • 余剰 = (実行価格 - 破産価格) × ポジション数 = (902 - 900.4502251) × 10 = 15.497749
  • 赤字 = (実行価格 - 破産価格) × ポジション数 = (900 - 900.4502251) × 10 = - 4.502251

6.3 クロスマージンモードにおける強制決済価格計算

クロスマージンモードにおける決済の価格計算

ユーザーの口座残高が5,000 USDTだと仮定します。ユーザーは、価格10,000 USDT/BTCで2 BTCのロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用します。維持証拠金率は0.5%、維持証拠金額は0です。

 

維持証拠金 = 価格 × ポジション数 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額

= 10000 × 2 × 0.5% - 0 = 100 USDT

決済価格の計算は、現在の持続可能な損失を特定することから始まります。

総持続可能な損失 = 利用可能残高 - 維持証拠金

= 5,000 - 100 = 4,900 USDT

 

総持続可能な損失が4,900 USDTの場合、ポジションは2,450 USDTの価格下落に耐えることができます(4,900 ÷ 2)。したがって、ポジションの決済価格は7,550 USDTです(10,000 - 2,450)。

 

6.4. クロスマージンモードにおける強制決済の例

ユーザーの口座残高が5,000 USDTだと仮定します。クロスマージンモードで、BTC/USDTの価格が10,000 USDTのときに2 BTCのロングポジションを10倍のレバレッジで注文、さらにETH/USDTの価格が1,000 USDTのときに10 ETHのロングポジションを10倍のレバレッジで注文の場合。BTC価格が8,004USDT、ETHが912USDTまで下落した場合、この時のユーザーのポジション条件は以下のようになります(維持証拠金率0.4%、テイカー手数料0.05%とします)。
  • 残高 = 入金 - 出金 + すべての実現利益 + すべての資金調達費用 - すべての取引手数料 = 5,000 - 0 + 0 + 0 - (10,000 × 2 × 0.05% + 1,000 × 10 × 0.05%) = 4,985
  • BTC 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(8,004 -10,000) × 2= - 3,992
  • ETH 未実現損益 = (市場価格 - 平均ポジション価格) × ポジション数 =(912 -1,000) × 10= - 880
  • クロスマージンモードでのポジションリスク = (すべてのクロスマージンポジションの合計維持証拠金 + すべてのクロスマージンポジションのポジション決済手数料) ÷ (残高 - イソレーテッドマージンポジションで使用されたすべてのマージン - 凍結された資産 + クロスマージンポジションの未実現損益) = [(8,004 × 2 × 0.4% + 912 × 10 × 0.4%) + (8,004 × 2 × 0.05% + 912 × 10 × 0.05%)] / (4,985 - 0 - 0 - 3,992 - 880) = 100.07% 
この時点でリスクが100%以上となり、強制決済が発動します。システムが保留中の注文や、同じ通貨でのロングポジションとショートポジションのクローズおよび相殺がないことを検出した場合、ユーザーのポジションは未実現損益の順番で決済されます(最も損失が大きいポジションから先に決済されます)。システムは、並べ替えルールに基づいてBTCポジションの決済を優先します。すべてのBTCポジションを決済した後、リスクが100%以上のままであれば、システムはETHポジションの決済を開始し、リスクが100%未満になるまで、またはすべてのクロスマージンポジションが決済されるまで継続します。
 

 

7.インバース型先物強制決済の例

7.1 分離マージンモードにおける決済価格の計算

 

ユーザーが1 ETHの口座残高で、価格1,000 USDT/ETHで1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。

概算強制決済価格(ロング) = [ロングポジションの価値 × (維持証拠金率 + テイカー手数料率 + 1) − 維持証拠金額] / [ロングポジションの価値 × (1 ÷ レバレッジ + 1) ÷ ロングポジションの平均注文価格]

= [10000 × (0.004 + 0.0005 + 1) - 0] ÷ [10000 × (1 / 10 + 1) ÷ 1000]

= 913.181819 USDT

 

7.2. 分離マージンモードにおける強制決済の例

 

ユーザーが1 ETHのアカウント残高で、1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを1,000 USDT/ETHの価格で注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金額は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。ETHの価格が913.181819に下落した場合、ユーザーのポジションの状況は以下のようになります。

当初証拠金 = ポジション価値 ÷ 平均注文価格 ÷ レバレッジ

= 10000 ÷ 1000 ÷ 10

= 1 ETH

 

未実現損益 = (1 ÷ ロングポジションの平均注文価格 - 1 ÷ 価格) × ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格

= (1 ÷ 1000 - 1 ÷ 913.181819) × 1000 × 10

= -0.950722 ETH

 

維持証拠金 = (コントラクト数 × コントラクトの名目価値 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額) ÷ 価格

= (1000 × 10 × 0.004 - 0) ÷ 913.181819

= 0.043803 ETH

 

ポジション決済手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率

= 1000 × 10 ÷ 913.181819 × 0.05%

= 0.005476 ETH

 

リスク = (分離マージンポジションの維持証拠金 + ポジション決済手数料) ÷ (ポジション証拠金 + 未実現損益)

= (0.043803 + 0.005476) ÷ (1 - 0.950722)

= 100%

 

この時点でリスクが100%以上となり、強制決済が発動します(その後の手順、ポジションの引き継ぎや保険金の投入などは、USDⓢ-M先物と同様の手続きが行われます)。

 

7.3 クロスマージンモードにおける強制決済価格計算

 

ユーザーが2 ETHの口座残高で、価格1,000 USDT/ETHで1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金率は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。

 

ポジション注文手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率

= 1000 × 10 ÷ 1000 × 0.05%

= 0.005 ETH

 

クロスマージンモードでの概算強制決済価格(ロング) = [ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格 × (ロング維持証拠金率 + テイカー手数料率 + 1) − ロング維持証拠金率] ÷ [口座残高 + コントラクトの名目価格 × (ロングポジションのコントラクト数 / ロングポジションの平均注文価格)]

= [1000 × 10 × (0.004 + 0.0005 + 1) - 0] ÷ [1.995 + 10 × (1000 ÷ 1000)]

= 10045 ÷ 12

= 837.432264 USDT

 

7.4. クロスマージンモードにおける強制決済の例

 

ユーザーが2 ETHのアカウント残高で、1,000コンタクト(コントラクト)のロングポジションを1,000 USDT/ETHの価格で注文、10倍のレバレッジを使用したと仮定します。維持証拠金額は0.4%、テイカー手数料率は0.05%、各コントラクトの名目価格は10 USDT、維持証拠金額は0です。ETHの価格が837.432264に下落した場合、ユーザーのポジションの状況は以下のようになります。

 

未実現損益 = (1 ÷ ロングポジションの平均注文価格 - 1 ÷ 価格) × ロングポジションのコントラクト数 × コントラクトの名目価格

= (1 ÷ 1000 - 1 ÷ 837.432264) × 1000 × 10

= -1.941265 ETH

 

ポジション決済手数料 = コントラクト数 × コントラクトの名目価格 ÷ 価格 × 取引手数料率

= 1000 × 10 ÷ 837.432264 × 0.05%

= 0.005971 ETH

 

維持証拠金 = (コントラクト数 × コントラクトの名目価値 × 維持証拠金率 - 維持証拠金額) ÷ 価格

= (1000 × 10 × 0.004 - 0) ÷ 837.432264

= 0.047766 ETH

 

クロスマージンポジションリスク = (クロスマージンポジションの維持マージン + クロスマージンポジションの決済手数料) ÷ (口座残高 + すべてのクロスマージンポジションの未実現損益)

= (0.047766 + 0.005971) ÷ (1.995 - 1.941265)

= 100%

 

現時点でリスクは≧100%となり、強制決済のトリガーとなります。

 

詳細については、以下の記事をご確認ください。

 

BingXをご利用の皆様へ
BingX公式サイト: https://bingx.com
リスク免責事項
暗号資産の価格は、高い市場リスクと価格変動に影響されます。投資する際は関連するリスクを理解し、精通している商品のみに投資するようにしてください。投資を行う前に、ご自身の投資経験、財務状況、投資目的、リスクを取る能力などを慎重に検討し、独立系ファイナンシャルアドバイザーにご相談ください。本ページに掲載されている情報は投資アドバイスを目的としたものではございません。 過去の収益実績は将来の収益の参考にはなりません。投資した商品の時価総額や収益が乱高下し、投資した金額を失う可能性もございます。お客様の投資判断の責任は、お客様のみにあります。BingXはお客様が発生する可能性のある損失に対して責任を負いません。
BingXは、暗号資産への投資または取引等によって発生したお客様の損失について、いかなる責任も負いません。BingXは独自の裁量により、いつでも理由の如何を問わず、事前に告知することなく、お知らせの内容を調整、変更またはキャンセルする権利を有します。
詳細については、 利用規約 および リスク警告 を参照してください。